預言者/Anonymous
 


彼女の手は優雅極まりなかった。

注がれたグラスを指だけで持つのも
差し出された手に手で応えるのも

様になったし、僕はなんとかしてその手をとろうと
やっきになった。

トランプをきるのも
ページをめくるのも

いつだって切り札を隠している。
そんな主導権は淫美な絵画だった。
僕は是非にと自分に切り札を突きつけて、
僕に標準をしぼってほしいと切に願った。

彼女の手に

月はその顔をなでられるのを夢見て
水は掬われるのをブルブルいいながら。

彼女の手は

預言者だった。

その美しい目の
その美しい口の

そう、すべてを司る。

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