(無題)/
キキ
ぬるい風がおびきよせるわたしたちの蜂
甘い匂いのする夏の終わり
なにもかもが蒼くて
中心の一片だけが白く冷め
わたしたちが目指す蜜
羽音はまだ遠いというのに
わたしたちは耳をふさいでうずくまっている
遠すぎてまだ見えない雲
稜線のむこうから
黒い風は吹き
あなたの質量を奪い去る
嵐を予感してはしゃぐ雨鳥の影
影だけになったら
焼けつくされたあとに立ち上がる新しい芽の
産毛に触れ
いつかの花に似た花になる
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