浪漫/
榊 慧
生まれる数十年昔の、
日用品の、
生活の、
ごく普通の、
静かな生活の、
影に、
それに
出会いたい
むせかえった春であろうその、
床をみつめる視線の主の、
静かな静かな生活の。
その、静かな、
その、
その、
静かなことを、
愛すのだ。
ぼくは、
それしか愛さない。
あの、
静かな繊細な、薄い退廃的の、
静かな淡白な、薄い官能の、
あの部屋にありたいが、
とうてい叶わぬ、
それらの、
あの、
白濁の液の違和感
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