ノスタルジック/Anonymous
 

物語を
ネガとポジという物事の光と闇に
ライトを浴びせ

一コマ一コマ丹念に読経のように
語り紡ぐ

黄金色に輝く映写館があるのだと
祖父はわたしに教えてくれた。

当時僕は6歳で

その存在を知るよりも先に
ブルーレイの存在を知ってしまっていた。

だけれど、僕がブルーレイに落とし込まれた
情報という名の物語の迫力を伝えようと
必死にがんばってはみたものの

祖父の語り口のノスタルジックな調子ほどに
相手に深い感銘を与えることはできなかった。

祖父は一生懸命驚いてみせてくれてはいたが
それは所詮孫相手の単なる芝居であることは

それくらいの
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