純粋正義への架橋23/チャオ
 
太陽の熱を、季節に還元していくように、涼しげな風が吹いている。手に持った花火を、海の波に向けて放つ。赤く光った火花は誰もいない海にたどり着く。真っ暗な夜だ。月さえも輝かない。

リュックの中から一冊の本を取り出す。「夜と霧」と書かれた表題。僕は寝そべる。おもむろにページを開く。そこで肝心なことに気がつく。真っ暗で文字が見えやしない。当たり前のことだ。

読み返そうと本棚から持ち出した本。無意味にしたくはないと、僕は頭の下に敷く。硬くて、うまく頭が納まらない。それでもないよりは心地いい。僕は友人が放つ花火と、楽しげな咆哮のさなか、抑えきれず眠りに落ちていく。

はたして、僕の夢は僕の体験
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