回転する12色と赤/この子
 
あの子があのとき子宮に戻りたいって言っていたことも知っていたけど、それはよくある遊びで、またどこかの本でもよんだのだと思っていましたが昨日あの子が子宮に帰ったお知らせが来てわたしはとても恥ずかしく、そしてあの子を羨ましいと思いました。
あの子がスカートというものを履いていたとき私は西瓜に塩をかけていましたし、確かあの子が色鉛筆というものを綺麗に並べていたときに私は真っ赤なクレヨンを乱暴に塗りたくっていました(ここは走馬灯)
そういえばあの子は夏が好きと言っていて、わたしはそれがどうしても理解できずにいましたが、夏の夜の体温に近い室温のなかでふとあの子の頭蓋骨とわたしの頭蓋骨が同じようにつくられていることを感じたことがあったよとわたしは最後まで言えなかった/今日は2月の木曜日、無情にもわたしには子宮があるということを知らせる赤が来て、わたしはできるだけ下品に笑う(そうして私は再びあの子に会うことはない)
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