心/刀
焦げ付いた心の灰を灰皿に
積もった灰は山になる
息を吹きかければ一瞬で消し飛び
火であぶっても変わることがない
そんな心
涙を流せば頬に貯まり
乾くごとに塩へと変わる
渇く喉を潤すことのない
更に渇く
そんな心
心が落ち込むたびに涙を流し
心に埋めようのない穴が出来るたびに屑で埋める
埋め合わせはできるはずもなく
ツケが回ってくる
そのたびに世界は汚濁に満ちていると嘆いては
自分の殻に引きこもる
目を閉じ、耳を塞ぎ、口を紡げば痛くはないと思うばかり
流れに抗う
これが昔想った俺じゃない
こんなものは俺じゃない
泣きそうな心を押しつぶして
嗚咽を噛み殺して
世界は美しいと信じて
愛が世界を救うのだと信じて
笑っていればいい
握り締めたコブシで殴り飛ばせばいい
泣きそうな心 全部
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