リッツ/
カンチェルスキス
白い布張りの壁に向かって
死にたいなんてつぶやいてしまいそうな夜だ
おれはあの女を手放した
けれども
向こうのほうでは
違うことを言ってるんだろう
ニキビをつぶしたときの痛みに
快感がまじる
なかなか車庫入れが成功しない軽自動車のエンジン音が
まとわりつくように
響いてる
風もやんで静止したカーテンの向こう
空の青は完全に消えて
ナビスコ・リッツの食い過ぎで
おれは晩飯を食う気になれなかった
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