いのち/
狸亭
夕暮れどきに 女が眠っている
うっすら目を閉じて 薔薇色の頬の
うれいを秘め 冷たくあおい額の
仄かに浮かぶアルカイック・スマイル。
唇のうつろいゆく刻に魅入る
はるかな肉体の悲しい記憶の
また観念のおもたい情欲の
幾重にも交じりあう時間のは配流。
いつもこうして男は女を見る
微かに運動する唇を見る
存在が露呈するおそろしい刻。
人類のはるかなる深淵を見る
いつか生まれていつかやって来る秋
まもなく黒い解決が訪れる。
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