溶媒(水)/蟹太郎
 
 
 
 
片側にばかり
痛みを打ち付けて
逆側はいつも
浮いてしまおうとする
 
結局は
浮ききらずに沈みきらずに
漂ったままで
 
飲み込んだ水は
呆れる程綺麗で
汚れ始めたこの身を
蝕んで行く
 
侵されて
感情までもが溶け出せば
やがて同化するだろう
 
半透明に徹して
染められるのは拒絶した
色を抜かれる事など
予期せずに
 
気付けば
浸透した体は
目では見えなくなっていた
 
 
 
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