aerial acrobatics 14/mizu K
 

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フライパンの穴をのぞくと
スピノザが机にかじりついているのがむこうに見えた
時間を超越する望遠鏡というものがあるのならば
それは存外、身近なところに転がっているのかもしれない
これまでにガスコンロの前に呆然と立ちつくすこと
数限りなく
そのころはいつも不眠症のカラスの声が
すこしだけ遠くのほうの空でうつろにひびいていたように思う
今年もアイリスがかすかに咲いている
窓辺から差す夕日はものみなすべてを琥珀に染めあげて
これなら茶葉もいらぬと笑い声が
いつか響いていたのをかすかに覚えている
もう多くのことをわすれてしまった
ときどき気が向いたら穴の
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