春、/るか
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春、
花々の精気が既に雪の下で匂やかだ、やわらかく傾斜する日差しはまるく、
やがてくる命の現れを優しく促しています、この真昼の自然の営みが私の
声を滑らかにする、わたしの身体もまたこうして朽ちて、あたらしい生命
の糧になることができたらいい、そんな夢想を誘われる二月のある時の眠
り。川の流れは滞ることなく、歴史の弦楽を奏で続け、青空の下で厳しい
緑いろした葉はつめたい風にふるえているが、それは春の訪れを祝う舞踏
です。青臭い愛の歌のようにせつない音色を響かせるのは巣から顔を出し
た雀たち。雪の上の足跡には血の染みのかげもない、わたしたちがあんな
も求めていた自由の
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