知らない街/ANA
海岸沿いの道を歩いている
知らない街の
あたたかい夕暮れ
家族連れも恋人達も釣り人もいない浜辺
白く砕けては打ち寄せる静かな波の音
水平線の向こう側はぼんやりとやさしく霞んで
パステルで創ったようなピンクと群青ののグラデーション
今そこに広がっているは
記憶にない思い出のようでもあり
昔見た古い夢のようでもある
知らない街をただ当てもなく歩くのが好き
知らない場所で暮らす人々の生活と、そこに溢れる日常を眺めるのが好き
知らない繁華街の小さなバーでジントニックを注文するのも好きだし
知らない路地裏で野良猫にえさを与えるのも好き
私はここにいる人たちを知らないから
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