夜明け氷/フミタケ
眠っているうちにどこかで何かが季節のトリガーに指をそえ
明確な透明さでもって入れかわっていく空気 大気
凍てついた日々はよくしたもので
人々には何かと集う理由があり
入り組んでいる関係と熱気が狂おしいほどであり
2月18日をもってそれが終わる音を僕はたしかに聞いたのだ
人々が散ったあとのガランドウへ春の風が吹き込む気配
2週間前に敷石の水たまりに生まれた夜明けの氷を
愛おしむように見つめて立ち止まってたあの娘は
もうすぐ福島の人になると言う
テーブルを前にむかいあっては営みの会話を重ねて
互いの想いの奥深くでふるえている何かについて口にする事はついになかった
いくつもの
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