まだ在るから/笹子ゆら
 
あなたが横顔を奪った。わたしを剥がしてしまった。小さく収縮する言葉だけを捉えて、他はもう要らないとごみ捨て場に投げ捨てた。あなたの全てを奪った。わたしは愛してしまった。世界はそれをわらった。



誰かの幻想
瞬きの中に呻く声、
あなたの
凍てつく手が今日も悲しいから。別に求めてなんていないのに、さようならを導くセリフが嘘を吐いて。
やさしいはずもない、

壊してしまいたいだなんて。ただ、こうして溢れてしまっているだけだと言うのに。本当は、何もかもわたしがいけない、とでも言いたいのでしょう。
撃ち抜かれそうな
眼差しで心臓を奪う準備は出来ているの。在るからいけないのだと、まるで搾り出すように、
寂しさを奪って


あなたの息を殺す。
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