水門/プテラノドン
 
そう思った。一人乗りのヘリよりも
図鑑じゃない「生」のザリガニの交尾現場に出くわした時なんか、特に。その間近で、
友達がわざと立ち小便をかましていたが
そこから目を離すことが出来なかった。
じきに水かさを増す川の流れに乗ってやって来る
親愛なるボートや友達も、土手沿いをさ迷う自転車も、
カゴに入れた缶ジュースの行方を考える友達も、僕自身も、
押し並べてみな時間に呑み込まれて押し流されていこうとも。そして
実際、二度と戻ってこない。それが何だってのだろう。
僕らは探すのが得意だ。

ビニール袋を手にそいつは言った。
「みんな、どこにいたんだよ」
「ここだよ!」


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