水門/プテラノドン
 
ハンドルを回して
開けたり閉めたりを繰り返す、水門の鉄扉の前で、
僕らは迫りくる波に何度も呑み込まれ、鼻につく臭いはともかく
時間は麻痺していた。真夏の昼間、水辺で遊ぶ僕らを
釣り人たちは河童だと笑っていた。彼らが言うほど、
泳ぎは得意じゃなかった。
一度、利根川脇の
横幅十メートルほどの大きな水門の前で
加減知らずの馬鹿な友達が作った鉄砲水に襲われた僕らは
抗う術もなく、利根川の本流まで押し流されて、
友達の一人が持っていた浮き輪がなけりゃ死んでいた思う。
その時は、皆がサッカーの試合を抜け出した格好で、
ユニフォーム姿だったから、死んでも誰が誰だか
簡単に分かったはず
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