失せた言葉/愛の代入/Anonymous
 
言葉が消えた。
心の凪。
思想の真空。

言葉が失せた。

耳を塞いでシャワーをあびる。
耳じゃなくて皮膚が水のつぶての音を拾う。
あの感じがいとおしい。

僕は愛しているというSOSを受信した。
だけれど彼女を受け入れてくれる病院を
僕はしらない。

彼女は言った。
あなたが『虎よ!虎よ!』を読んでたよって言ったら
その人
そんなやつは信用できない
って。
いっぺんにその人のことを好きになった。

なんでガルシア・マルケスは
あんな汚らしい天使のことを書いたのだろう。

言葉が消えた。
押し寄せる静寂は
僕には堪え難い。

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