化石へと向かう沼/北村 守通
 
緑あふれた
かの沼地には
蓮の花が咲き誇り
緑あふれた
かの沼地には
ホテイアオイの紫色の花々が
咲き誇りすぎ
黄金色の魚体が
ぐらり揺らげば
緑あふれる隙間で
透き通っていたはずの水は
あっという間に
チンダル現象を起こし
ぴしゃりと閉められた
カーテンと同じく
ボクの視線を排斥し
そして
ボクの知り得ない世界への静寂へと
戻っていったことに
ボクは
一日という時間の終わりを知ることができていたのに

かの沼地は
もはやない
あふれた緑も
もはやない
ホテイアオイ達はどこかに立ち去り
蓮達は
何万年か後に発掘されるのだろうか
アスファルトの毛布の下で
いつまでの眠りに
ついたのであろうか
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