生かされていることへの感謝としての宗教/レヴィナスの宗教哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる16/もぐもぐ
 
「警戒」もしくは「意識」を働かせていないとき、私は他者を「無条件的に」「信頼」している。この「信頼」という語は、私がレヴィナス読解の為に勝手に引いた補助線であるが、とりあえずこのような語を置いてみないと、レヴィナスの論述は抽象的で意味不明な断言に分解してしまうように私には感じられる。レヴィナス自身は、「信頼」などという語は一切用いていない。従ってテキスト的には横暴な読みかもしれないが、とりあえず読解を容易にするために、一旦このような補助線を置いておき、後ほど不適当なことが判明すれば、それはその際に修正する形にしたいと思う。

さて、「警戒」若しくは「意識」を働かせていないということは、私が世界
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