Davidへの伝言/いとう
ある
受け入れることで名付けられなくなる何かがあり
Davidあなたですら
私たちがあなたを受け入れた途端に
David
あなたも消えてなくなる
確かにそれは
受け入れることしかできない結果に過ぎないし
私たちにはそれ以外何もできないのだけれど
もう一度聞いて欲しい。
私たちはいつも
ささやかなものを守ろうとして消えていく
それが私たちであって
それ以外の私たちはいない
ささやかなものが何かは関係ない
守れるかどうかも関係ない
守ろうとする意思と
消えていく覚悟と
それだけが私たちに残るものなのだから
私たちの廃墟はいつも
眩しさと暗闇の境界を作り出し
その曖昧な空間を
私たちは慈しむ
影絵のようなシルエットはいらない
くっきりとした境は
必要ない
私たちは暗い穴の中に潜んで
曖昧なまま
すべてを受け入れようとする
David.
私たちにはそれしか術がないのだから
私たちにはそれしかできないのだから
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