Davidへの伝言/いとう
私たちはいつも
ささやかなものを守ろうとして消えていく
それが私たちであって
それ以外の私たちはいない
私たちは確かに
生きていないまま生きなければならなくて
そして躓いたまま死んでゆくのだけれど
その呪いを受けたままでしか生きられないのが
確かに私たちなのだ
David.
私たちは受け入れるしか術がない
それは運命と呼ばれるものではなく
もしかしたら呪いでもないのかもしれない
私たち全員が呪われているので
誰も呪われていることに気づかないどころか
呪いというものがあることさえ知らないのだから
だからDavid.
受け入れることで消滅する何かがある
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