幸福/五十里 久図
いつも急かされていた
一日の終わり
夕陽が赤く、夢色に輝く瞬間を
見逃すまいと思って
十二月の太陽はとても気が早くて
僕はいつも置いていかれた
その瞬間に間に合いたくて
僕はいつもせわしなく時を過ごす
全てを包む至高の刹那が往かないよう
往かないよう、僕はいつでも祈っていた
でもその瞬間は、あっという間に僕を置いてく
向こうの空へ、彼方の空へ
それはいつも逃げていった
太陽に照らされた雲が虹の色に染まるとき
僕は全てを手に入れた気がした
(また見つかった、永遠)
日々は続く。人生は続く。永く。永く。
でも、その一瞬だけで、僕は全てに納得することができるだろう
たとえこの後に続く茫漠とした時間がひどく身を苛むことになろうとも
それでも僕は幸福だと声を大にして叫びたい
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