An ENPTY OVEN/伊月りさ
実な防衛戦線を築いた
その殺傷能力は
男を殺し
人間を殺し
鱗を削る指先を殺し
きみに本物の快感をおしえた、
引き潮は加速し
プランクトンは死滅し
彼女は機械ですらなくなり
わたしは歴史から追いやられる
歴史に食い込んでいく弾丸
カノウセイは拒絶されて、
キケンセイは回避されて、
モラトリアムをやめられない、半端を
愛だと言うのなら
悲しいかおで投下せよ、
防弾チョッキを
脱げ!
接合部を焼き切れ!
接合部に点火しろ!
接合部に
わたしの
人間は言葉をかき集めている
水平線に向かって叫喚をする
遠洋に
羊水が波打つ
彼女は鱗の下に海嶺の砂粒を確認する
わたしは泣いて
しかし
わたしは兵器を拒まないだろう
二度と濡れない尾ひれの肉は 明日から
順当に腐っていくだけだ
羊水は干上がっていくだけだ
この鱗は
わたしは
風化していく
孕まないまま母になるだけだ
それでも
オウブンは
狙っているのだ
冷凍保存された宇宙を解凍できることを
黙っている
わたしは、昨日
きみの奇形児を生んだ
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