赤い車/木屋 亞万
信号が立っています
青い光を放っています
不自然なほど続く直線に、等間隔に立っています
そこを一台の車が走ります
おもちゃみたいな赤い車です
後ろに引いてネジを巻かなくても走ります
辺りはアスファルトのようにほの暗いです
朝が近いのかもしれません、暗闇ではないのです
ぼんやりとした朝の最先端に青が点点点と光ります
音はありません、効果音を入れてあげたいくらいに静かです
ものがたくさんあるのに音がないというのは迫力があります
すべてがおわってしまったようなかなしみもあります
その悲しみは朝を呼びます
朝はきっと新しさに満ちていて、元気のある人たちが動き出します
赤い車の曲
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