海の熱、鉄鋼の風/
水町綜助
なって
冷たい顔に熱を生み出す
街は野は
森は
知らない国の戦地は
熱を帯び
誰も手を差し出して
触れることができないほどに熱を帯び
熱は大気をふるわせ
気流として上昇し
風を生む
風は海を
平凡に荒らし
僕たちは
また吹き倒されそうになって
茫然をかき乱して
そこに置いたままで
*
瑞々しさを風と体
その摩擦の中に生み出し
流して
流して
流して
気づかない
乾いてしまうまで
滲み出た
その水を飲むことはない
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