春を迎えるにあたって / 西尾/
西尾
北国の街でも
季節という名の急行列車は定刻どおりにやってきて
開いた扉に ベルが鳴って
早く行きましょうと 待っている
すべてを捨てて飛び込むことができた昔とは
何かが違う
乗らないのですかと いぶかる扉の前で
迷っている 冬の日ざし
捨ててゆくもの
抱えてゆくもの
何も決まらないまま
また今年も乗りこもうとしている
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