時はもうすぐそこまで来ているよ/
五十里 久図
何も振り返ることのなかった青い空
あの日
穏やかな冬の日差しと
彼女のマフラーと
欠けているものなんて、何もなかった
待ち合わせに遅れる僕
電話をかけながら
必死にあの子の姿を探す
見つけて
手を振る
ため息顔の女の子
呆れたように僕を見て
僕の顔を
つねって笑う
そんな日
あまりにも青い空
今の僕は
そんな感傷とは無縁の世界で
ただひたすらに生きている
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