ふこうなきみへ/イチムラ
「わたしは不幸なの。誰からも必要とされていない」
君はいつもそうだ
自分で作った檻に、自分で作った鍵までかけて
対角線上、体育座り
差し出されている手から わざと視線を逸らして
必死で呼びかける声に 耳をふさいで
僕はここにいるよ
君を必要としているよって、伝えたいのに
もう手が疲れちゃったよ
喉も嗄れてしまったよ
ねえ もう少しだけ、君から近付いてくれないかな
ねえ ここにいる、僕に気付いてよ
君のすぐそばに落ちている、この檻の鍵
この手にほら、君から渡してくれないか
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