イクラの軍艦巻/
小川 葉
赤い卵が
まっくろい側面の
棺桶にならんでいて
うす暗い船底には
ごはんがあるものだから
たまらない
軍艦のデッキから
声が聞こえる
声に出しては
ならないその声を
聞いている
まだ生きたかったのだと
ああ命の
なんておいしいこと
だからぼくらは
その味をわすれない
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