挫折の青/亜樹
立つのも嫌だった。だからいつも適当な返事ばかりしていた。
結果、私はその子に疎まれた。
妹は、私よりずっと絵が下手だった。でも彼女は中学へ行っても、高校に行っても、挙句大学に行っても、絵を描くのをやめなかった。私のように、のちのちの就職の為に資格が取れる大学に、ではなくて、自分のしたいことができる大学にいった。私は大学では、本当に一握りの友人しかできなかった。キャンパスを歩く彼女たちと私の感性は、すがすがしいほど真逆だった。私はただ、一緒に美術館に行ってくれる友人が欲しかった。同じ絵の前で立ち止まって、「これ、いいね」とか、その程度の会話ができれば十分だった。
やめればいいのに、
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