挫折の青/亜樹
昔から、ずっと絵を描くのが好きだった。一番描いていた中学校のときは美術の時間に支給されたスケッチブックを一人だけ使い切って、それでもまだ描ききれず、友達から紙を分けてもらって、ちびまくった6Bの鉛筆で、手を真っ黒にしながらただひたすら描いていた。
でも不意に、自分が格別に絵が上手い訳でも、それで食べていけるわけでもないことに気がついて、それからは電話のときの手悪さ程度にしか描かなくなった。
それでしょうがないなと思った。そんなもんだと思った。まわりの友達も大体そんな感じで、でも一人だけかたくなに挿絵画家になると言い張る子がいた。高校のときの同級生で、その子のことを痛々しいなぁとか思いなが
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)