帰ることを知らない/五十里 久図
 
君はまるで、そこにいるのにいないかのよう
今日会ったことも今では忘れて

いつかは、お互い、見知っていたことも忘れ
印象の残存と、微かな記憶にすがりつく

美であったように思われる一抹の記憶が
わけもなく
意味もなく
日々を彩る

その果てにあるのは

誰とも近づけぬ孤独、歩み寄れぬ孤独
すれ違い、かすめあい、
いつかは忘れることすらできなくなる

果ての日に見るのは
一体どんな景色だろう

終の時に想うのは
何のことだろう


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