開眼のひと/illilli
 
髪に絡む生臭い風
根拠などないけど
鵜呑みにしてしまっていいこともあるな
そうすればこの思念に停滞する
転回し切れない苦悩のいくつかだって
救われる気がするよ
君はどうしてる

君がその混沌に君のコンパスで描いた
優しき弧の潔さは
君が憂う思念の片鱗だったことに気づいて
掬われる気がするよ
君はどこに隠れている

指先で涼をとる虫を息かけ吹き飛ばすように
要らない虚飾なんかすべて
恐れを忘れて 無心で
この息で吹き飛ばしたっていいことがあるな
そうして遣り繰りする日日も退屈ではないよ

縫い目の無い理想
しかも手触りが良くて
そんなものに思いを馳せることがあってもいいな
風をきって駆けまわるこの両脚
風を操るかのように振り上げるこの両腕は
あの空中でも通用しそう

拝啓
開眼の君
君はどこに行こうとしてる
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