hands/RW
2畳もないキッチンで洗い物を済ませる
食器が触れ合う音が
夜の静けさに吸い込まれていく
君がくれた習慣で,ハンドクリームを塗る
緩慢に手をこすり合わせる音も
静けさの中に吸い込まれていく
“あなたはこれからいろんな人と握手しなきゃなんだから”
僕が面倒くさがるものだから
君は自分の手にとって,それを絡ませてくれたっけ
僕のつめが綺麗でうらやましい,といいながら
手のひら,手の甲,指先に
いたずらっぽい眼をして,
ちょっとだけヤラシイ感じで
その君の手を振り払ってしまったのも,この手。
こすり合わせる音はどんどん吸い込まれていくのに
胸のジクジクする感じはつもっていく
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