落下していく、冬/ANA
 
温かい部屋の温かいお皿に温かいシチューをよそる
くもった窓のむこうがわにはお月様も凍えそうな青い夜
ひとりだけの食卓はいつもより幸せだ
家の無い可愛そうな人のことを思う
霜の降りた土の上で眠る野良犬のことを思う
私と一緒にいないあなたのことを思う
ごめんなさい 
といいながら寂しさひとつ残さずにおなかいっぱいご馳走をいただく

思ってもみなかった
一人になるなんて
思ってもみなかった
おたがい違う季節にいるなんて

温かい部屋の温かい布団のなかで眠る温かい猫になりたい

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