東むきの窓/夕刻の光/kauzak
東むきの窓から見えるマンションは
夕陽を眩しく浴びて金属質に輝いている
けれどそれは束の間のこと
引き潮のように暖色の光は消えていく
夜を招き入れるような小鳥たちのさえずりが届くと
背後でジュッと夕陽が地平線に燃えつきた音
が聞こえた気がした
空はまだ色をまとってはいるけれど
宵闇はどうしようもなく足音を響かせて
風が冷えていくのと呼応するように
動悸が高鳴る不整脈の一歩手前まで
夕焼けを背にしたまま街を見ていたから
感傷に浸っていることを見失ってしまった
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