朝の次曲/長元坊
 
朝を歌う鳥が
私の朝に光を照らす
まだ明け染めの空を泳ぐ鳥たちが
大地を覆う絹布を一枚一枚啄ばんでいく

家並の背中を見つめながら
廃墟の町にも日は昇り
鳥の声と木々の呼吸が
巷の影を薄めていく

今朝も今朝が来た
おそろしき今朝が
物語のあらすじさえも
夢の中で果たせぬままに
真っ白な朝が来た

予定調和に慣れた肉体は血を失くし
指揮者のいない楽団は思わず楽器を床に落とす
本番だ
これが本当のぶっつけ本番だ

純光がたましいを照らし
世界が私に期待する
しかし・・・
さあ、とせっつくのは世界ではない
焦りを転がしているのは私自身だ

鳥たちが
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