闇を愛す/kauzak
風呂あがりの
ほてった身体を
常夜灯だけがともる
洋室で冷ます
妻も娘も寝静まった
夜更けに
フローリングの床に
じかに座る
柔らかな闇に身を浸すと
穏やかな気持ちになる
そんな感覚を
戸惑いながら受け入れる
薄い闇の中に
ぼんやりと広がる世界
すべては曖昧で
僕も曖昧なままでいられる
肩肘張らなくてもいい
日々の生活の中では
何もかもが過剰に照らしだされて
見えなくてもいいものまで
見えてしまうから
僕には抱えきれないものが
多すぎて少し
疲れているから
せめてこのひとときだけでも
柔らかで薄い闇を愛したい
曖昧な世界に包まれたい
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