風景/長元坊
自転車に乗って
切り裂く無限がいとしい
風と共に過ぎ行く人の
寂しげな拒絶がいとしい
どこかへまっすぐに突き進んでいく
私のありあまる馬力がいとしい
どこかへ行き着くために生まれ
都市のカオスと
閉ざされた視線の旅路が
このまま果てしなく続くとしても
私にはこの風景がいとしい
たとえば街の片隅で
手をつなぎ歩く母子の姿があり
心のどこかでそれを奇跡と感じながら
奇跡を生み育んだ風景の中を
信じて走りつづける
向かい風と共にくる
旅人のあなたへ
まっすぐに走る
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