せいざばんの よる/たりぽん(大理 奔)
 
話し相手もいない
寂しい大地
哀しくて眠れない夜は
誰かの髪のすきまを
すり抜ける風になりたい
明け方まで星の
瞬くさまをみていたい
星の移りは
エンドロールのようで

  焚き火が美しいだろう
  燃やし尽くそうと薪をくべる
  いくつかのあきらめや
  ほんの少しの決意を
  夜の湿気に変えて
  宇宙よりきっと広い胸の奥で
  また新しい銀河が流れる

どこで君の夢を見たのだったか
月だけが欠けたり満ちたりしていた
どんな名前だっただろう
泣いていた、指先

  煙がゆっくりと流れる
  西風、相変わらず僕は
  ただ見上げるだけで
  届かない想いだけが
  巡ってゆく、夜空

闇がゆるやかに傾くころ
静かに背を向けて
階段を下りるようにまた
自分の影を一歩ずつ踏みつける



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