冬虫夏草/ゆるこ
 
 
 
わたしの、からだが
このくうきのなかで
そだって ゆく
うごめくその べつじげんのせいめいたいに
なにか ふるえ、
 
 
 

 
 
彼女は夏に生まれた
しずかで瑞々しい
触れても反応しない
陶器のような肌に
幾つもの 芽をつけながら
 
ただ、呼吸をしていた
 
 

 
 
わたしはむかしをおもいだせないの
もう、なにもかもざつおんのなか
いいえ、せいじゃくのなか
なにも、かも
 
 
 

 
 
私は冬に生まれた
誰かの温度を求めて
両手を動かしながら
 
世界は枯れ果て
私は乳房をただ、ただ
荒く掴んで、いた
 
 
 

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