[あなたに会いたい。]/東雲 李葉
 
久し振りにため息が絡む喫茶店を通り過ぎた。
言葉を交わしたのはもう数えきれない時間の向こう。
目まぐるしい毎日はあなたの見えない日々ばかりで、
きっとあなたも私を忘れて生きているでしょう。
近付き過ぎが善いとは思わないけど、なぜだろう。
辛い一日の終わりには祈りのように思い出す。
必要な人間でありたい。出来るならそう、あなたのために。
本当は片時も離れることなく暮らしたい。


細やかな幸福が好いのです。
飽きるまで筆跡を見つめたり、頭文字を交換したり、
無知を晒して話を聞いたり、優位に立って話をしたり、
鮮度のある会話が欲しい。会いたい、会いたい、会いたい!


私、あなたが必要です。だから、あなたも私を。
我儘だと分かっています。だけど、だけども。
あなたのため息で私の頬が濡れるくらい、
そんな近くであなたに会いたい。
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