神の家訪問/生田 稔
 
(公子作)
海端に白い煙が冬の空

黄黒の雲わけ見ゆる睦月空

浜名湖や静かな面に陽は照りて

雲群れて陽のおぼろなる一日や

古きより陽は神のお顔なり

陽の路や神の家へとバスは走す

一面の茶畑一面の茶畑菊川

駿河来て富士の姿ほの見える

雲多く富士の頂目とどかず

雲の間に富士見えにけり松の内

車路左手に見ゆる富士睦月

山々山山にかこまる冬裾野

雲白く風吹きわたり冬の山

山峡をバスは進みて枯れ木晴れ

青い空白い雲間の冬晴れよ

晴れし日は冬日も楽し唐崎衆

遠き山かすみ霞て枯れし町

歌を止め俳句となりぬこし秋より

海老名まであと6里なり冬の旅

永遠の命を知りし冬の家

神の家べテル記念の桜枝

家に着けばこの枝絵に描かむかと

今日一日太陽に覚めそして寝る

かすむ富士陽光浴びてべテルより

33の番号多し睦月暮

○帰路

牧之原かまぼこ匂う冬一日

夕陽落ち残影のある冬一日

点々と灯影彼方此方冬の道
  (四四句、幸せの句)


戻る   Point(1)