沈黙/sekka
 
寒い冬の日
凍った池の前で
あなたと二人
過ごしていた

言葉もなく
音もなく
赤色や黄色や茶色の
葉に敷き詰められた水面を
私たちは見続けていた

陽の光が緩やかに傾きかけた頃
美しい彩りをそのままに
閉じ込めた水面の下
いくつもの魚が蠢いていたのを
私たちはお互いに気づかないでいた





戻る   Point(3)