暗号/土田
しばらくしてサッカー部らしき男子高校生のグループが通りかかり
冷やかしなのかそれともどちらかの苗字なのか
なぁかざわ、なぁかざわ、と手を叩いていた
もっこり倶楽部はそれを声援ととったのか
鳥の巣をせわしなくわさわさぶんぶんと振り回しながら熱唱していた
たくさんの言葉のかけらが音に乗って吐き出されていった
〜追いこみ過ぎた自分を塞ぎきれずに
あたまをからんからんとぶん回せば
ああ、甘えと旅立ちとの葛藤みたいな〜
一曲歌い終わるとサッカー部らしき男子高校生のグループは
そそくさとその場からいなくなりどこかへ消えていった
あっけにとられてしまった目をもう一度水たまりに向けた
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