メランコリックの灰/智鶴
世界の裏側に辿り着いて
君と絶望の夢を見れると思った
美しくない現実に翻弄されている僕は
見つかる筈のない数字をさがしていた
夜中に僕の腕の中で眠る君が
僕には天使のように見えたけれど
きっと他の誰かには化け物にしか見えなかったんだろう
目を閉じてしまえば
起きた頃には君はいなくなっていると知っていたから
夜が怖くて仕方なかった
白い息が消えて
遠くで戦争の音が聞こえる
遠雷のような音と
爆煙の匂い
明日は雪が降るそうです
悲しい雪が降るそうです
無機質に散っては溶けて
街を切なく染めるんです
失ったものが美しすぎて
現実からも夢からも隔離されて
君は遠い国へ旅立ったまま
もう何年も帰って来ない
きっと遠い国では
時間の進みが違うんだろう
戦争に巻き込まれていないといいけど
世界の裏側に辿り着いたら
君を探してみようと思う
遠い国の戦争もきっと終わって
瓦礫だらけの街で
君と絶望の夢を見たい
何もかも失ったときには
君と絶望の夢を見たい
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