釣りをしながら考えた/北村 守通
空が好きという人は少なくない
「空を自由に行き来できたら」
よく聞く言葉だ
完全なる三次元を体感できる空とは
陸上という束縛からの解放を意味する存在なのかもしれない
けれども
ボクは知っている
完全なる三次元が持つ恐怖を
例えば
ビルの屋上から真下を見下ろす
それはきっと
空を自由に駆け巡る者に拡がる視界のはずなのに
足がすくんでしまうのは何故か
例えば
底の見えない水中で
360度の天球の内の
僅か数分の1しか認識できないことによる
見えない世界の存在
届かない足
届かない指先
個を分
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