雪々/小川 葉
 
 
雪々が
列車の屋根に降り積もると
定刻どおりに発車する

人々が乗る
列車の屋根で
雪々は
いつものあの街まで

会えただろうか
その街で
伝えるべきことは
伝えられただろうか

雪の言葉で
人には聞こえない
その言葉で

人々は
その言葉の意味を
知っている

雪の降る街に
生まれたならば
雪々として暮らした
遠い記憶があるならば

人々は
今日も列車に乗る
雪の言葉で
あいさつをする
 
戻る   Point(3)