雪々/
小川 葉
雪々が
列車の屋根に降り積もると
定刻どおりに発車する
人々が乗る
列車の屋根で
雪々は
いつものあの街まで
会えただろうか
その街で
伝えるべきことは
伝えられただろうか
雪の言葉で
人には聞こえない
その言葉で
人々は
その言葉の意味を
知っている
雪の降る街に
生まれたならば
雪々として暮らした
遠い記憶があるならば
人々は
今日も列車に乗る
雪の言葉で
あいさつをする
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