あの頃の子供/まどろむ海月
 
頃の子供だった。

どうせ幻覚だろうし、かまっていたら遅刻しちゃうし、さっさと朝の支度を済ませて
朝ごはんを食べていると、背中からよじ登って僕の首や頭に抱きついて遊ぶのだ。
可愛いので何か食べさせようとしても、一向にほしがる気配がない。
休んで一日付き合うかと一瞬切なく思ったのだが、
今日は大事なクライアントと外せない約束があるので、絶対に休めない日なのだ。
食べられそうなシリアルとかミルクの皿をテーブルに並べて、
おとなしくしておいでと言い聞かせて家を出た。

鍵をかけて小走りに駅に向かったのだが、
いつの間にか手をつないでついてきているではないか。
しょうがないので一緒
[次のページ]
戻る   Point(4)